優良事例

Good Example

地域畜産振興部門

耕畜連携による
地域農業の新たな展開を支える
酪農集団活動

真室川町酪農振興会

真室川町酪農振興会は、平成2年に酪農経営者3名で組織して以来、転作による自給飼料増産対策、飼養規模拡大、畜産環境対策、耕畜連携推進対策等の国庫、県単独の補助事業を積極的に利用して発展し、現在の構成員3名の飼養規模は170頭となり、真室川町の乳牛飼養頭数の80%を占めている。

同振興会の活動で特に評価されるのは、耕種農家との連携による、地域循環型農業の確立に寄与しているところである。構成員が生産する堆肥は乳牛の糞尿全量と地域内から排出されるきのこ菌床廃オガクズ等を原料にして年間3,000t生産し、耕種農家のニーズに応じて園芸用、土地利用型作物用として供給し、運搬、散布も請負っている。

この活動は、町全体の堆肥利用による土作り意識を高め、こだわり米生産による売れる米作りを実現し、園芸作物の生産にも弾みとなり、かつては見るべき園芸品目が無かった町内の園芸作物の販売額を2億8千万円(17年度)に伸ばす原動力となっている。

これらを実現するために、特徴的な工夫が行われている。

  1. 耕種農家の堆肥利用の利便と運搬・散布の効率化を図るため、振興会の働きかけ等により耕種側が町内4箇所にストックヤード(400t規模1箇所、150t規模1箇所、100t規模2箇所)を設置している。

  2. 堆肥散布は積雪の利点を活かして冬期間にも行い、散布作業期間の延長、作業能率の向上と堆肥ストック量の平準化を図っている。

  3. 堆肥利用促進のため、代表自ら地域の主要な耕種農家へ利用推進の働きかけを行っている。

  4. 野菜生産部会長等との連携により、生産堆肥の品質への理解を深めながら地域的な広がりをもった堆肥利用体制確立を図っている。

行政が推進する「最上エコ農業推進事業(県総合支庁所管)」、同事業を企画する「エコアグリプロジェクトチーム」、JA真室川と町が推進する「真室川町耕畜連携システム」の呼びかけに呼応して堆肥供給の中核機能を果たしてきた。

このような、真室川町酪農振興会の取組みは、真室川町内における堆肥需要のさらなる拡大を誘発しており、畜産経営の規模拡大において制約条件となるふん尿処理問題を解消し、地域内における畜産振興の間口を大きく広げている。

1.地域の概況

真室川町は山形県の最北部に位置し、北部は秋田県、西側および東側は急峻な山地に接し、南部に鮭川盆地へと続く地形をなす。当町の総面積は374k㎡うち80%は山林)で、最上地域(当町、金山町、最上町、新庄市、鮭川村、戸沢村、大蔵村、舟形町)の21%を占める。
平均気温10℃、年間降水量3,212mmで県内でも有数の豪雪地帯である。
人口は10,054人、うち農業就業人口1,039人、農家総戸数703戸、うち専業農家65戸、第一種兼業農家194戸、第二種兼業農家444戸で、畜産農家は63戸、うち酪農経営7戸、肉用牛経営52戸、養豚経営3戸、採卵鶏経営1戸となっている。農業就業者は高齢化が進んでいるものの、20~30歳代の後継者が育ってきている。
平成16年における農業産出額は235千万円で、部門別生産額は米(151千万円)、野菜(41千万円)、乳用牛(20千万円)、肉用牛(9千万円)、豚(8千万円)、その他(6千万円)となっている。

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【表-1:真室川町の概要】

人口・世帯数 (平成17年現在)
人  口 世    帯    数
総人口 農業就 業人口 世帯数 農家数
総戸数 専業 一種兼業 二種兼業
10,054人 1,039人 2,749戸 703戸 65戸 194戸 444戸
耕地面積等 (平成17年現在)
総面積 耕      地 放牧地
水田 樹園地 牧草地
374.3k㎡ 2,180ha 1,950ha 113ha 66ha 50ha 41ha
家畜の飼養状況 (平成18年2月現在)
酪農経営 肉用牛部門
戸数 1戸当たり飼養頭数 総飼養頭数 戸数 1戸当たり飼養頭数 総飼養頭数
7戸 30.7頭 215頭 52戸 7.5頭 388頭
養豚部門 養鶏部門
戸数 1戸当たり飼養頭数 総飼養頭数 戸数 1戸当たり飼養頭数 総飼養頭数
3戸 215頭 645頭 1戸 530頭 530頭
主要農作物の作付状況  (平成17年現在)
タラノ芽 ニラ
作付戸数 作付面積 作付戸数 作付面積 作付戸数 作付面積
664戸 1,320ha 70戸 56ha 50戸 11.3ha