優良事例

Good Example

経営部門 肉用牛肥育経営

乳は土から搾る
~土地利用型酪農の実践~

今 作雄

5.経営の歩み

(1)家畜排せつ物の処理・利用において特徴的な点
平成13年に耕畜連携による唐松堆肥生産組合を立ち上げ、495㎡の堆肥舎を新設。水分調整を適正に行い、入念な切り替えし作業により、良質な完熟堆肥を生産している。 生産した堆肥のうち約8割は自家の自給飼料基盤へ散布し、残りは近隣2戸の耕種農家(水稲とおうとうの複合経営)へ年間約120t供給しているほか、飼料給与向けの稲わらを確保するため、近隣の稲作農家との稲わら交換も行っている。 広大な自給飼料基盤の土づくりのため、自家生産堆肥に加え、町内の酪農家2戸(頭数規模70頭と50頭)からも堆肥をほぼ全量譲り受け、自家農地へ還元している。 環境保全の観点から河川敷への堆肥散布は行っておらず、化成肥料のみ散布している。

(2)家畜排せつ物の処理・利用における課題
年間にして、10a当り約3~4tの牛ふん堆肥を自家農地へ還元しているため、土壌肥料成分の偏りが懸念される。 対策として、1年おきに全酪連による土壌成分の分析を行い指導を受けているほか、化成肥料には低カリ成分のものを使用する等の対策をとっている。

(3)畜舎周辺の環境美化に関する取り組み
配偶者が主体となり、畜舎周辺には毎年多くの草花を植えている。畜舎周辺へ花を飾る試みは所属する酪農組合の婦人組織活動としても取り組んでおり、プランターや花壇の色彩鮮やかな花々が畜舎周辺の環境美化に一役買っている。 また、畜舎前は一般道、後ろは実淵川の清流となっていること、さらには、酪農教育ファームとしての認定も受けていることから、いつ体験希望者が訪れてもいいよう家族一丸となって清潔な畜舎周辺の環境整備に取り組んでいる。

6.地域農業や地域社会との協調・融和のための取り組み

① 地域循環型農業の確立(耕種農家との結びつき)
平成13年に新築した堆肥舎は、地域における堆肥生産組合としての取組みであり、単なるふん尿処理施設としてではなく、地域の耕種農家2戸(水稲とおうとうの複合経営)が堆肥を利用できる場として活用されている。

②畜産への理解を深めるための活動(地域の子供たちの受入れ、消費者交流等)
酪農の持つ多面的機能や役割を地域住民に広く理解してもらおうと、平成13年に酪農教育ファームの認証を受けた。酪農体験学習希望者などを積極的に受け入れ、これまでに10数件ほどが訪れている。

① 地域循環型農業の確立(耕種農家との結びつき)
平成13年に新築した堆肥舎は、地域における堆肥生産組合としての取組みであり、単なるふん尿処理施設としてではなく、地域の耕種農家2戸(水稲とおうとうの複合経営)が堆肥を利用できる場として活用されている。

③ 地域活性化のための活動(他地域との交流会や地域イベントの開催等)
「いきいき深山郷推進協議会」という地域の環境整備グループの地域活性事業部委員を務め、地域の環境保全や環境整備に積極的に参加している。
深山地域にあるグリーンツーリズム施設で毎年2回ほど開催されるイベントに参加し、牛乳・乳製品の販売や情報交流などを通して地域農業の振興に努めている。

④ 地域の農業・畜産の仲間との共存のための青年農業活動
経営主は、過去に全酪連の全国酪農発表大会に参加した酪農経営者で構成される「全酪ラクラククラブ」の副会長を務めており、年に数回、他県の同志との情報交換を諮っている。
また、配偶者は白鷹町の良好な環境の保全や環境創造に関する諮問機関である「環境審議委員会」の委員となっており、町の環境保全について重要な役割を担うほか、平成17年からは農業委員に就任するなど、町農業の発展に大きく寄与している。

7.今後の目指す方向性と課題

(経営者自身の考える事項)

① 頭数規模は現状維持。

② 現在、さらに1~2ha程の自給粗飼料生産基盤拡充を検討しているが、労働負担軽減を図るため現行の半地下式コンクリートサイロからバンカーサイロへの移行に取り組んでいる。

③ 収益性の向上にむけ、初生子牛の付加価値生産を図るため受精卵移植などの先進技術の導入も検討していきたい。

④ 分娩間隔の短縮など、牛個体管理技術の更なる向上を図るため、牛群検定事業への参加等も検討していきたい。

⑤ 今年就農した長男は、酪農教育ファームや観光牧場などに関心をもっており、将来的には加工・販売部門への経営展開も検討していきたい。