優良事例
Good Example
乳は土から搾る
~土地利用型酪農の実践~
今 作雄
3.経営実績の特徴
1)優れた生産技術
ア)生 産 性:平均産乳量は経産牛1頭当り9,032㎏、搾乳牛換算で10,168㎏と畜産協会指標を大きく上回っており、乳成分も平均乳脂率4.02%、平均無脂固形分率8.77%と良好である。
イ)低い事故率:経産牛事故率は7.6%と低く、自家育成の経産牛繰入れにより後継牛確保は充当できている。
ウ) 耐用年数 :廃用牛の廃用時平均年月齢は6.4年、同平均産次数は3.7産と乳用牛の耐用年数を上回っており、無理のない経産牛更新を行っている。
2)飼料基盤の確保と低コスト良質粗飼料生産
飼料基盤が総面積19ha、経産牛1頭当り面積は36aあり、自給飼料の通年サイレージ給与が可能となっている。
また、飼料基盤は11haの団地化された土地と8haの河川敷地2個所に集約化されており、大型飼料生産機械の共同利用による低コスト生産(DM1㎏当り単価11.5円)を実現。なおかつ、飼料基盤の土作りにも力を入れ、適期播種及び適期刈取りを徹底することにより良質な粗飼料生産を行っている。
3)育成牛の預託放牧を活用した労働負担の軽減
後継牛の育成は、所属する酪農組合が運営する放牧場利用のほか、この牧場で賄えない牛は北海道の育成牧場への預託も行っており、労働負担の軽減を図りながら優良後継牛の確保に取り組んでいる。
4)家畜排せつ物の有効活用
自家生産堆肥のうち約80%は自家農地へ還元しているほか、耕畜連携により唐松堆肥生産組合を立ち上げ、堆肥舎を新設し近隣2戸の耕種農家(水稲とおうとうの複合経営)へ生産堆肥を供給する自然循環型の処理方法により、ふん尿処理コストを低減している。
5)家族経営協定による役割分担
平成11年に締結した家族経営協定により家族間における役割分担を行い、日常管理の効率化を図るとともに、記帳をもとに(社)山形県畜産協会による経営診断等を参考にした経営分析を行い、定期的な経営実態の把握と検討を行っている。